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◆ オーナーシップが変わって◆ ヨハンにとってのバイオダイナミック栽培◆ 多品種栽培とそのメリット◆ マイナー品種に対する市場の変化 (2021年春カタログ掲載)(8https://www.village-cellars.co.jp/pdf/news/JohanVineyards_labels.pdfhttps://www.village-cellars.co.jp/pdf/winery/JohanVineyards_map.pdfhttps://info.village-cellars.co.jp/Editorial/posts/JohanVineyards*価格はすべて消費税別;容量は別途記載のあるもの以外すべて750ml。Village Cellars Wine Catalogue 2024Summerヨハン・ヴィンヤーズシャルドネ2020ヨハン・ヴィンヤーズマセレーション2021春に咲くカタクリの花2023ヴィンテージ・レポート ヴィンヤードマップ ☞ヨハン・ヴィンヤーズディスコ・チキン・ロゼ2021モーガン・ベック氏インタビュー ☞CODE12724品種:シャルドネAlc.12.5%希望小売価格 ¥8,600ピュアな質感だが澱熟成によるミネラリーで複雑な風味。余韻に引き締まった静けさ。クリームやバターソースの白身魚やローストチキンと。ラベルに描かれた木々は、ワイナリーの前庭に広がるヨハンの魂を感じさせる冬景色。 2021年春生産者インタビューで取り上げたヨハン・ヴィンヤーズは、その秋、オレゴン州南部アップルゲート・ヴァレーに位置するバイオダイナミック生産者カウホーン・ヴィンヤードの傘下となりました。以来、何が変わり、何が変わらなかったのか、主任醸造家で2020年からゼネラル・マネージャーを務めるモーガン・ベックに聞きました。        〈2024年4月〉―― 2021年のインタビューで、ヨハンでは2010年から接ぎ木プロジェクトにより16種類の品種を栽培しているとお話ししました。現在の栽培面積はピノ・ノワールが2/3、シャルドネが10%、その他14品種は、品種によって1-4%です。ピノ・ノワールは畑購入当初に大半を占めていたディジョン・クローンから他のクローンへの多様化もしています。毎年少しずつ接ぎ木するので、畑はパッチワークのようです。 なかでもブラウフランキッシュは格別です。私の場合、「ピノ・ノワールがあるからオレゴンに来て、シャルドネに惹かれてヨハンに来て、ブランフランキッシュがあるからヨハンにいる」と言えます。この品種は冷涼な年も気温上がる年も、オレゴンに素晴らしく合います。年により香り高い紅茶の風味、またはタンニンがしっかりしてフローラルでさらに色濃い果実などが際立ちます。2020年には山火事の影響でロゼしか造れませんでしたが、まもなくリリースされる2021年は素晴らしい出来です。 多品種を栽培することにはいくつかのメリットがあります。品種やクローンが異なると、天候に対する反応も問題への対応の仕方も違います。また収穫時期がずれるので小さなワイナリーでも収量に対処できます。 醸造に関して1回のヴィンテージで試せることは限られています。結果が分かるまでには時間がかかり、それぞれに対応する最善の醸造方法を決めるには時間が必要です。品種が多様であれば、そのときに試みた醸造方法では個性が突出しすぎるような場合に、それらをブレンドして面白いワインを造れます。ブレンドできることで、思い切ってさまざまなことを試せ、複雑さのあるワインが造れるのです。―― ヨハンで多様な品種を植え始めたとき、周囲の多くの人は、いったい何を考えているのかと訝りました。たった14年前のことです!今のところピノ・ノワールとシャ―― ヨハンを創設したダグ・ヨハン・サンドビーが引退することを考え始めてから、事業を引き継いでもらいたいと思える次のオーナー候補を見つけるのに5年かかりました。その間、多くの購入希望者をインタビューして畑を案内しましたが、カウホーンのチームはそれまでの人たちと全く違うとすぐに分かりました。カウホーンも自社畑はバイオダイナミック、有機栽培で、農業に対するアプローチは自分たちと似ていました。ですから栽培方法に関して容易に建設的な話し合いができ、お互いに将来的な話し合いができ、それほど時間をかけずに契約を交わしました。 オーナーシップが変わって40ヶ月強になりますが、畑の管理や醸造設備への投資が着々と進んでいます。カウホーンの経営方針を押し付けられることもないので、買収されたというより、新しいパートナーシップが始まったという感じです。CODE12533品種:ケルナー40%/フリウラーノ30%/グリューナー・ヴェルトリーナー30% Alc.11.9%希望小売価格 ¥6,500白3品種を果皮浸漬してブレンド、品種の表現と新たな可能性を探る試み。香り高く、紅茶の質感やタンニンが爽やかな余韻へ。チキンやポーク、チーズなどボリュームある料理と。水彩画家のヨンがワインの風味をラベルにイメージ。*持続可能な社会・環境を目指す“サステイナブル”に対し、環境の再生に関する取り組み。不耕起栽培や有機栽培もリジェネラティブ農業の一種。**永続性・農業・文化 (permanent-agri-culture)を組み合せた語。農業の考え方の一つ。***1924年シュタイナーがコーベルヴィッツ(当時ドイツ、現ポーランド)で行った講義。年間を通じて、暑すぎたり寒すぎたりしない、安定したよいヴィンテージで、収量もそれなりだった。晩熟品種はしっかり成熟するよう少し除房した。ウィラメット・ヴァレー全体で病害の心配があったが、ヴィンヤード・マネージャーがしっかり管理してくれ、事なきを得た。生育期は理想的で、特に赤はタンニンに複雑さがありながら、重すぎずきれいで、色もしっかりしている。白はそろそろ発酵が終わる頃。2024年ヴィンテージが始まったばかりで、牧草地にはカタクリの花が咲いているので、例年通りなら、そろそろシャルドネが芽吹くでしょう。  (2024年4月 モーガン・ベック)ルドネがウィラメット・ヴァレーのキング&クイーンと思われていますが、消費者の嗜好は大きく変わり、新しいものを好んで試したいという探求心旺盛な消費者が増えています。かつての消費者は「ブラウフランキッシュ」と発音できなければ、ワインに見向きもしませんでしたが、今では「発音できないし、何だかわからないから試しに買ってみよう!」とう人が増えています。これは多種多様な変わった方法で造ったビールを市場に送り出すビール業界のおかげ、と私は思っています。消費者は知らないものを試すことに慣れてきたのです。―― 創設者のダグは、当初より有機栽培を目指し、前の栽培家のダン・リンクがさらにそれをバイオダイナミック栽培へと進め、デメターの認証を得ました。私は彼からバイオダイナミックスの哲学と実践を学びました。さらにダンはバイオダイナミックとリジェネラティヴ農業*が一緒になったパーマカルチャー**へと展開させ、私も彼の考え方に沿ってきました。ヨハンの土地はすべて不耕起栽培(地面を耕やさない)にし、カバークロップは多年生植物、敷地には動物を飼ったりしています。今も毎年、デメター認証を得ています。このような基本的な方針は、オーナーがカウホーンとなり、ダンが徐々に手を引いた後も変わっていません。 実践では常に改善を重ねていますが、今年2024年は、バイオダイナミック農業の基礎を築いたルドルフ・シュタイナーの農業講座***が行われてから100周年にあたり、その精神面を再認識する機会にも恵まれました。 『農業講座』のブッククラブは、5年前に再編されてさらにメンバーを増やし、ヨハンも関わっています。この講義録を改めて読み直すと、今まで以上にその哲学と実践が総合的に理解でき、チーム全員が大きなエネルギーを受け、さらに意欲が湧いてきます。ヨハンでは今でもヴィンヤードとワイン両方でデメターのバイオダイナミック認証を取得し、栽培哲学をワインに表現することを大切にしています。各ラベルの由来やエピソードを聞きました ☞CODE12530品種:ブラウフレンキッシュ34%/ピノ・ノワール25%/ツヴァイゲルト5%/ケルナー14%/サン・ローラン12% Alc.12.1%希望小売価格 ¥5,400オーストリア品種主体のロゼ。軽快な赤い果実を清らかな酸が貫く。山羊のチーズ、ハムやソーセージを挟んだパンに合わせて。ラベルはアーティストで友人のリアが、ワイナリーで飼っていた鶏がディスコで踊るイメージをデザイン。オレゴン州ウィラメット・ヴァレーヴァン・ダザー・コリドー)ヨハン・ヴィンヤーズ近況とこれから

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