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◆ 拡大するローソンズ・ドライヒルズ◆ どこのどんなブドウを使うか、それが問題です◆ ローソンズ・ドライヒルズの発足◆ マールボロのサブリージョンの土壌と地形*価格はすべて消費税別;容量は別途記載のあるもの以外すべて750ml。Village Cellars Wine Catalogue 2024Summer◆ マールボロ:産地としての特色品種:ゲヴュルツトラミネール  Alc.13.6%希望小売価格 ¥2,750ローソンズ・ドライヒルズゲヴュルツトラミネール2022 (スクリューキャップ)品種:ソーヴィニヨン・ブラン100% Alc.13.0%希望小売価格 ¥2,800ローソンズ・ドライヒルズソーヴィニヨン・ブラン2023 (スクリューキャップ)ローソンズ・ドライヒルズリザーヴ・ソーヴィニヨン・ブラン2023 (スクリューキャップ)CODE12679ローソンズ・ドライヒルズの創設者ロス&バーバラ・ローソン夫妻は、 1982年、ブレナム近くに所有する土地に最初のブドウ樹を植え、当初はブドウを他の生産者に売っていました。1992年にローソンズ・ドライヒルズ(以下、LDH)を設立、現在120ha(50%は自社、50%は借地と長期契約栽培者)の畑からの畑から数々の高評価ワインを生み出しています。2009年にロスが亡くなり、その後バーバラは引退を決断、自分の株を、長年株主でもあったティム&ポーリーン・エヴィル夫妻に売却しました。今回、2001年よりシニア・ワインメーカーを務めるマーカス・ライト氏に話を聞くことができました。―― マールボロは、ブドウ栽培に大変適した産地です。温暖ですが暑くなく、日中は太陽光に恵まれ、夜は気温が下がります。このような気候で育ったブドウは、ワインにその風味と酸の特徴がしっかり残ります。特にNZで最も多く生産されているソーヴィニヨン・ブランには最適で、さらに2番目の生産量のピノ・ノワールにも完璧、白赤トップ2種に強いという恵まれた産地です。ピノ・ノワールは最適な気候条件が揃えばよいものができますが、マールボロのソーヴィニヨン・ブランは、そのスタイルが畑の表現そのものなので、世界の他の産地とは異なり、真似できるようなものではありません。LDHのワインはどれも単純に畑の表現で、醸造テクニックで造るものではありません。 マールボロの比較的新しい土壌、気候条件、クローンの種類、そして栽培方法が弾けるような明るさと美しい風味を備えたソーヴィニヨン・ブランを生みます。強い紫外線が果皮を厚くし、果皮に含まれるフェノールがパッションフルーツの風味を生み出すともいわれていますが、何か1つの要素ではなく、さまざまな要因が影響しあうことによるものと思います。 明るさ、美しい風味などの基本的な質は畑で決まります。畑ではブドウの世話をして風味が最適な時に収穫し、タンクに入れ、樽で自然発酵させるか、場合によりスタイルは変わりますが酵母を添加します。例年通り開花してくれれば結実後に畑で除房などの作業をしなくともブドウはきれいに熟し、ワイナリーでの余計な作業もなく、最も大切な点ですが、上質なワインができます。―― これは面白い話なのです。1970年代、ロスとバーバラ・ローソンは現在LDHのワイナリーがある場所に数haの土地を購入し、その代金を稼ぐため、ロスはポッサム(有袋類の小動物)狩りを始め、バーバラが塩を使ってなめした皮を売っていました。ロスは70年代後半にブドウ畑の管理やブドウ栽培の仕事を始めました。当時はカスクワイン(箱入りのワイン)を製造するための大手企業がいくつか設立された頃で、そのうちの一社がロスにゲヴュルツトラミネールを植えるように依頼しました。当時彼は「ゲヴュルツトラミネールって何?」と思ったかもしれませんが、「もちろん!」と即答、1981年から1982年にかけてゲヴェルツトラミネールを植えました。しかし、90ライチやバラ、スパイスの芳醇な香り、果実味豊かなオフドライ。創設者自ら1981年に植樹したワイナリー周辺の重い粘土質土壌の畑のゲヴュルツのフリーラン果汁を低温発酵し、澱とともに4ヶ月間熟成。CODE12648搾りたてのレモンやパッションフルーツ、青みを帯びた爽やかな風味。アテワレ・ヴァレー(25%)とサザン・ヴァレー内陸ワイホパイ・ヴァレー(75%)のブレンド。 Gold Medal, Drinks Business Sauvignon Blanc Masters 2023年代初頭に「もう不要!」と買い取りを拒否されることになりました。 ロスは意志が強く、自分たちのブドウはかなりよいと考えていたので、自分でワイン会社を立ち上げたのです。1992年が最初のリリースで、自分たちの畑からゲヴュルツトラミネールと、マールボロですから当然ソーヴィニヨン・ブラン、そしてロスはシャルドネ以外飲まなかったのでシャルドネも数樽造りました。―― 当初の畑はおそらく5haほどの小さなものでした。今はそこにワイナリーと倉庫が建っているのでもっと狭いです。ソーヴィニヨン・ブランは素晴らしい品種で、最初の15年ほど、収穫するとすぐによい価格で売れました。8月に瓶詰めすればすぐに現金が入り、そのお金で苗木と土地を購入、すぐに苗木を植えることができました。それほど回転が速かったです。LDHはそうして徐々に畑を取得、土地を購入して植樹、さらにはいくつかの区画をリースしたりしました。ちょうど今アワテレの一画に植樹しているところで、なかなかよい感じです。―― ソーヴィニヨン・ブランの味は育った地域により味が変わるので、地理的な味わいの多様性が大切です。ローソンズ・ドライヒルズ・ソーヴィニヨン・ブランは、地域が異なる畑のブドウをブレンドするため、多様な複雑さがあります。畑があちこちにあるということは、多様性の追求だけでなく、リスク分散にもなります。ここは冷涼な気候なので、収穫時にブドウの病気や降雨など、問題が発生する可能性があります。頻繁には起こりませんが、起こった場合、特に完熟しているほどブドウは雨に敏感です。畑は地理的に分散しているため、収穫期間は1か月にわたります。数日後に降雨が予測される場合、熟したものは何でも雨の前に収穫し、降雨後、数日置いて乾燥させて収穫を続けます。熟度が進んでいないブドウは、雨の心配はありません。 アワテレ・ヴァレーでよい畑が入手できれば、ブドウを完熟まで待って収穫してからもグリーンなニュアンスが残り、トロピカルフルーツ、メロン、パッションフルーツからピーマン、ハラペーニョ(青唐辛子)まで、風味スペクトルのさまざま特徴が得られます。―― マールボロには3つのサブリージョンがあります。ワイラウ・ヴァレーは、ワイラウ〈聞き手:ディオン・レンティング(キーウィ・コピー) 2024年4月〉品種:ソーヴィニヨン・ブラン100% Alc.12.9%希望小売価格 ¥3,000フローラルで唐辛子を思わせるスパイシーな風味。凝縮果実を新鮮な酸とミネラルが彩る。収穫遅めのアテワレ・ヴァレー(70%)にワイラウ・ヴァレー(30%)の果実をブレンド。10%旧樽で自然発酵。 Five stars, Cuisine MagazineCODE12678マーカス・ライトマールボロの歴史とともに着実に成長するも、産地の多様性と畑の個性の表現にこだわる中堅生産者――― マーカス・ライト(シニア・ワインメーカー) 生産者に聞く: ローソンズ・ドライヒルズ(ニュージーランド、マールボロ)-6-

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